川上未映子「あこがれ」
川上未映子「あこがれ」
前半の話「ミス・アイスサンドイッチ」
を読みました。
川上未映子さんは初めて読みましたが、ぼくはとてもとても阿部和重さんが好きで、まあその奥様なので、これはきっとなにかあるであろうとふと思い、読んだのでした。
僕の価値観では、女性というものは男性よりもいろいろとだいたいすごいものだ(偉大だ)と思っていますから。
「ミス・アイスサンドイッチ」は素敵な小説です。
まず、とにかく文章の構成が美しいです。話の内容とは別のところで文章が瑞々しいのです。
それも、引用をしてここがね、あそこがね、というのでもなくて、文章のながれ全体が瑞々しいので、抜き出せないのです。
ふつう、書くときって読む相手のことをなんとなく適当に想定して文章って書いていて、例えば、これを川上未映子さんが読むと考えると、文章の書き方への意識がぶれるというか、少し変わります。(だからって文章力はあがりませんが。)この小説の文章は他者への意識が大きいというか、他者を意識した文章であるにもかかわらず、そのぶれが少ないように感じました。
「ミス・アイスサンドイッチ」の文脈というか、センテンスのあいだの「間」が好きです。
ボルヘスみたい。そうでもないか。
文章自体がすっと入ってきて心地よかった。またあらためてこの本を開きたい。と思える文章。
しかし、阿部和重さんの小説も読んで、川上未映子さんの小説も読むと、
阿部和重さんと川上未映子さんとその子供が一緒にご飯食べたりしている、ってののイメージとかがなんかすごいなーとか想像してしまう。
ふつうの人と小説家の違いは、日頃誰もことばにしていないような、ささやかな感じに、ことばを与えられることだよね。いいなー。