読書兎の書庫

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独りのときの堀込泰行

 

One

One

 

 

今回は本の話ではないですが、元キリンジである、かの麒麟児兄弟の弟、堀込泰行氏のアルバムが発表されました。

キリンジ時代から聴いていて、兄のほうの現在のkirinji(ややこしいな)もとりあえず聴いていますが、やはりあの美しいメロディとハーモニーは、分裂してなくなってしまったかと悲しく思っていましたが、堀込泰行氏の音楽は健在でした。

そしてなぜ堀込泰行氏が兄の元を去ったかが、その理由がこのアルバムの随所に隠されてるように感じるので穿った見方で歌詞を解題してみます。

因みに音楽のほうも、馬の骨(かつて堀込泰行氏がやっていたソロ)とは違う、とてもキリンジ的なあたたかい音楽になっています。

 

 

風にあらがい

冬に蜃気楼を  なぜだい

移りゆく月日の中で

心を閉ざすくらいならいっそ

あぁ  涙を流すがいい

美しいワルツに身をまかせ

踊るなら  

光も射すだろう

雨上がりの日の 虹のように

夜明けや夕べの

夢に魅せられ

やぁbaby

逆さまに映る きのう来た道

風に乗ればいいものを

夏は光と遊べばいいものを

限りある月日の中で

遠くばかり見る人よ  そうさ

                                                                   Waltz

 

 

time after time  飛んでみるのさ

探し物は  そこにある

たとえ虹が 空になくとも

かまうな

窓を叩く嵐も

眠れぬ夜さえ

君の友だ

小さな胸の奥の宝物を

忘れずに

どこまでいけるか

                                                               Shiny

  

 

溺れていたんだ

苛立ちを ジンで煽って

見守ってくれ

やりなおす僕を

友達よ

ぶざまなダンスを笑って

                                                        ブランニューソング

 

君は変わった

今ではもう

話にならない 悲しいね

聞き飽きたんだ

「ボロ儲け」などけっこう

言いたいことは

それだけかい

大人なんだ

お互いさまでいこうぜ

君のせいさ 

なんてほど坊やじゃないんでね

さよなら テディベア

夜更けのお伽話と寂れたダイナー

 小銭にくらんだ目じゃ

夢もゆがむさ

君と笑った

若葉の頃

世界もまだ

青かった

                                               さよならテディベア

 

 

 

さよならテディベアは、ネット上のインタビューで、インタビュアーがポールマッカートニーのRAMに引っ掛けてそういう質問をしていますが、そのような意味ではないと本人が語っています。が、やはりその説明はあまり説得力がないよ、、という気がしましたね。

これはやはりそのまんまの意味なんではないでしょうか(穿った見方なんでね)。

 

全体として、「踊る」、「虹」、ということばや、いまここを大事にする感じ、

つまり、彼は今この場所にいる自分が、だめでも、情けなくてもそれを受け入れて、それを昇華させるような音楽を(ただの毎年増産される大衆音楽ではなくて)つくりたいと、言ってるような気がするんですね。そういうわけで、キリンジで維持していくのはもう無理だったってことではなかろうかなと思いました。

堀込泰行さんという人は正直な人だなと思いました。

王道の、メロディ、素直な歌詞、キリンジの時に、こういうのが聞きたかったんだよな。