読書兎の書庫

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スウェーデン型の福祉国家へ

 

 

2日ぐらいで読了。日本てのは人口減少が日本のほんとうの問題(っていうか問題とも言えない)である。

で人口減少の原因は実は皆が子どもを産まないとかではなくて晩婚化が原因で、(つまり20〜29歳までの女性が結婚適齢期にならなくなったと。それは自然な事だと思う。)それも歴史の流れを踏まえると仕方ない。けれどもこれから人口減少社会が来てそれに対応した社会に変えていく必要があり、いまの経済成長が素晴らしいと言う考えの社会から、縮小均衡時代を基盤にしたスウェーデン型の福祉国家(格差も少ない型)へと変わっていったほうが、良いと言う考察。考えはちょっと違うかもだけどビデオニュースの宮台真司さんの話とダブる部分もあった。堅実に思考していく。良著。

 

ところで、わたしは「競争社会」を否定しているのではない。重要なことは、競争社会というものが成立するのは、社会が拡大再生産を続けている限りにおいてだということである。人口が減少し、総需要が減退し、総生産が下降するような縮小均衡の時代には、もはや競争原理そのものが成り立たなくなっている。なぜなら縮小均衡下における競争の敗者は、生存の危機に陥ってしまうだろうし、格差は社会の安定を維持できないほどに悲惨なものになるからだ。社会不安の増大は、結局のところ社会秩序を、破壊してしまうことになる。

こう考えてもよいだろう。競争が安定的に機能するのは、誰かがより多く獲得し、誰かがより少なく獲得できうる限りであり、共同体のフルメンバーが生存可能であるという条件が整っている限りにおいてである。経済インフラが右肩上がりなら、そういうことは起こりうるし、生産性も上がるかもしれない。しかしもし、社会のリソース全体が縮小し、誰かがより多く獲得することが、もう一方の他者の生存を脅かすことになれば、これまでの競争原理そのものの変更が必要になる。

 

[「移行期的混乱」以後 ]より。