リンカーンとさまよえる霊魂たち
あけましておめでとうございます。
やっと読めた。ほぼ半年かかった。
死者と生者の狭間を描いた作品はたくさんあるけど、去年10月ぐらいに見た映画「ラブリーボーン」もそんな話だったなあ。
でもこの話はもっと読みづらい。戯曲調というかいろいろな死者の意識が彷徨ってるような文体。それが他の死者の生きていたころを説明したり、生きているものの中に入ってその気持ちを代弁したりする。変なことも多々起こる。案の定こういう物語で死にきれなかった登場人物というのは日本でいえば所謂「成仏出来なかった者たち」で、そのものたちが自らのいかにダメだったか、或いはいかに正当化するかをその狭間の世界で語り合っている。そのうちに事件が起こり、それに沿っていろいろなものの意識に変化が、訪れて、、、という話。リンカーンの時代の生きていたものの歴史的縮図でもある死者なので、Netflixあたりが映像化すると分かりやすいかも。
ミスター・ヴォルマンと私は本拠地に向かって必死に走りすべった。
ロジャー・べヴィンズ三世
動揺していた。
ハンス・ヴォルマン
我々でさえ動揺していた。
ロジャー・べヴィンズ三世
ミスター・ベヴィンズと私でさえ動揺していた。
ハンス・ヴォルマン
ヴォルマン兄、我々はどうする?と私は呼びかけた。
我々はここにいる、とミスターヴォルマンが応えた。私を見てくれ。私はここにいる。誰がーー誰がしゃべっているんだ?私がしゃべっているのを聞いているのは誰だ?
しかし、我々は動揺していた。
ロジャー・べヴィンズ三世
こんな感じでずっと続く450ページ。
あーやっと読めたーー。
この話読んだあとに、さまざまな、いろいろなひとたちの生き方をそのまま受容できるように少しなったきがした。
少しだけ。