読書兎の書庫

読書、音楽、映画、雑記

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

須賀敦子「遠い朝の本たち」

父が一九七〇年に六十四歳で死んだとき、私は岩波の日本古典文学大系の揃いを、ごっそりもらった。父は会社をやめたら、一冊ずつ、読んでいくつもりだったのだろう。ほとんど、ページを繰った痕跡のないなかで、平家物語だけは、しっかりと読んだあとがあっ…

「愚痴と感情」

昔はてなブログをやっていて、その頃は色々と生活のことをつれづれと書いていた。でも今はそれをあまりやろうとは思わない。なぜならSNSやあらゆるネットコミュニケーションはそれで溢れかえってしまっているからだ。 たとえば森の、木々の色や、山の土の上…

まだ読んでいないけれどそのうち、たぶん、読む本たち1

遅読積読で全然ブログが描けないので、これから読む本とか読んでる本を。 まず「歌の祭り」ル・クレジオ と、これ。 物質的恍惚 (岩波文庫) 作者: ル・クレジオ,豊崎光一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2010/05/15 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: …

「世界の複数性について」と「偶然の統計学」ーーかくもいかようにも世界は捉えられる。

今日は幾つかの齧った本のメモ。 世界の複数性について 作者: デイヴィッド・ルイス,出口康夫,佐金武,小山虎,海田大輔,山口尚 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2016/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 様相実在論を擁護…

「ぼくらはそれでも肉を食う」 ⑵

「ぼくらはそれでも肉を食う」読了。 子ネコを見てメロメロになる人が、ミンクの毛皮の肌ざわりを愛せることくらいで驚いてはいけない。 「人は言うこととやることがしばしば食い違う。」 心理学者たちのあいだでは、以前からよく知られた事実があり、人間の…